出エジプト記とは

聖書における2番目の書物です。神はモーセを選び、イスラエルの民をエジプトから約束の地へと導きます。その過程において、荒野で神はイスラエルの民と契約を結ぶ、という内容になっています。

1章:エジプト人による圧制

2-4章:モーセの誕生、亡命、器官

5章-12章:ファラオとの対決

12-15章:出エジプト

15-17章:水と食料を求める

17章:アマレク人との戦い

18章:モーセの義父エトロの訪問

19章:シナイ山での神との出会い

20章:十戒

21-24章:契約に付随する律法、契約の締結

25-31章:幕屋建設指示、礼拝に関する規定

32章:金の子牛の製造

33章:神の臨在を確保するためのモーセの苦闘

34章:契約の更新

35-40章:幕屋の完成

出エジプト記の著者と年代

出エジプト記は「モーセ五書」の1つであり、著者は誰であるかの明確な記述はありません。「モーセ五書」と呼ばれる通り、モーセと密接な関りを持つ内容となっていますが、モーセが筆者であるとは断定できず、筆者不明の書です。また、現在の定説においては、複数の資料を基にして、バビロン捕囚の後に編成されたと考えられています。

モーセ物語

モーセの物語はエジプトで展開されます。ヨセフがエジプトの宰相となった後、古代イスラエル12部族の始祖となるヤコブの息子たち(ヨセフの兄弟)もエジプトに定住します。その息子の一人がレビであり、レビ族の始祖です。モーセはレビ族の父アムラムと、アムラムにとって叔母にあたる母ヨケベドとの間に生まれ、兄アロンと姉ミリアムがいました。

モーセが誕生した当時、増えすぎたイスラエル人に脅威を感じたエジプト王ファラオは、男子殺害の命令を出します。その中、モーセはファラオの娘に救われ、エジプト人同様に育てられました。

ある日、同胞のイスラエル人がエジプト人に打たれているのを見て、モーセはエジプト人を殺害します。しかし、それを見ていたイスラエル人がエジプト人に殺害を密告し、モーセは追われ、ミディアン人の地へ逃れます。そこで現地の女性と結婚します。

逃亡した地にて、モーセは燃える柴の中から神が現れ、兄のアロンと共にエジプトからイスラエル人を救い出し、乳と蜜の流れる地に行けと命じました。その時、神はモーセに「私はある」という名を示されました。

モーセはファラオにイスラエル人を去らせるように訴えましたが、当然ファラオは拒否します。神はエジプトに災いを起こし、十番目の災いの後、ついにファラオはイスラエル人にエジプトを去る許可を出します。

モーセは民を荒れ野に導きますが、あまりの過酷さに民は不満を述べます。モーセは神に訴え、水、うずら、マナなどをの食糧を確保します。

モーセはシナイ山に民を導き、山上で十戒を刻んだ律法の板を神から受けます。しかし、モーセが山を下りると、民は金の子牛の像を作り、拝んでいました。モーセは彼らと激しく衝突し、再び神との契約を結びます。

神はモーセに幕屋建設について細かい指示を与え、幕屋は民が荒れ野で神を礼拝する場所となりました。モーセは約束の地カナンに入る直前に死亡します。

出エジプト記が伝えること

出エジプト記は諸部族連合体として、自身が領土をもつに至った過程を記しています。そこには様々な要素が組み込まれており、一言でまとめることは難しいです。しかし、そこには「神の救い」、「人々の堕落」、「契約」という3つの要素が含まれています。

始めに描かれるイスラエル人の姿は、エジプトに奴隷とされて意気消沈している姿です。そこにモーセが現れ、神の助けによって見事出エジプトを果たします。モーセは民を導いて約束の地を目指しますが、そこで噴出する民の不満はまさに人間的です。

さらに、シナイ山では神との新しい契約を結ぶという、宗教意識が極めて高まりと、一方では金の子牛像礼拝に象徴されるように底知れない堕落とが、劇的に対比させられいます。イスラエルの民は決して「優等生」ではなく、人間的な弱さを存分に抱えていながら、悔い改めて「契約」に臨みました。

神がイスラエルの民を選ばれた理由については、申命記7章7‐8節に記されています。

主が心引かれてあなたたちを選ばれたのは、あなたたちが他のどの民よりも数が多かったからではない。あなたたちは他のどの民よりも貧弱であた。ただ、あなたに対する主の愛のゆえに、あなたたちの先祖に誓われた誓いを守られたゆえに、主は力ある御手をもってあなたたちを導き出し、エジプトの王、ファラオが試合する奴隷の家から救い出されたのである。

神から救いを経て、神との契約を結びます。この契約により、イスラエル人相互に対する責任、神に対する責任が定められました。契約とは、自らが主体とならなければできない行為です。この契約をもって、民全体が主体を持ち、絶対者なる神の前に進みでることを決意したのでした。

さらに、神との契約は同時にイスラエル社会の基礎となりました。十戒の精神は、様々な実践的な問題に適用した規定へと発展していきます。