申命記とは

申命記はモーセの遺言という形式で書かれました。シナイの荒れ野の物語の続きとして描かれており、モーセの死までが記されています。申命記は律法だけでなく、独特の歴史観、神との関係の理想像を描き出しています。

  • 1-11章:モーセの演説(十戒、律法、カナン征服への支持)
  • 12-26章:礼拝する場、礼拝、王、司祭に関する律法
  • 27-34章:契約に付随する祝福と呪い、後継者ヨシュア、モーセの死

著者と年代

創世記は「モーセ五書」の1つに数えられる書物ですが、単純にモーセが著者であるとは考えられていません。複数名の記者が関り、イスラエルの歴史の様々な異なるものが資料として集められ、何段階かの作業を通して編成されました。著者は不明です。

申命記は北王国の聖所で編集され、BC722に北王国が滅亡してからユダ王国にもたらされたものだとされています。列王記の記事からすると、申命記はヨシヤ王統治下において広く知られるようになりました。また、申命記は、ヨシア王が神殿改修工事の際に見つかった律法の書である可能性が高いといわれています(列王記下22:8-10)。

時代が変化するにつれて、律法の中には時代錯誤になったものもありました。例えば、王に関する条文(申命記17)は、王朝が滅亡した時に意味をなさないものとなりました。また、敵を殲滅せよという命令も(申命記20)m意味を失いました。しかし、申命記の真髄である、神への礼拝と、共同体の平和という関心は失われることなく、結果的に申命記は後代へ伝えられることになりました。

歴史書とのつながり

申命記に記された3つの演説(申命記1-3、7-10、29-30)は、ヨシュア記やサムエル記、列王記などの歴史書の演説と似ており、申命記の記事が何らかの影響・関連を持っていると考えられています。そのため、それらの歴史書を申命記的歴史と呼んでいます。

ヨシュア記から列王記までは歴史について語りますが、申命記は律法について語ります。律法は理想を掲げ、それが実現できなかった場合にどうなるかを描きだします。

また、申命記の十戒は出エジプト記の記述と構造・形式において同様であっても、後から増補されたものであると理解できます。また、12-26章の律法書は、これも同様に出エジプトの律法書と多くの関連を持ちます。このことから、申命記は「古い契約」を新しい時代に適用しようとするために書かれた書物であることが推測されるでしょう。